cherie

観劇とかの個人メモ

御贔屓の退団

1月15日。

御贔屓の退団が発表された。

頭が真っ白になって、ただただ泣いた。

どうしてこれだけ泣いたのかわからない。こんな思いをするなんて、宝塚を好きにならなければよかった。そう思った瞬間すらあった。

16日は仕事でミスを連発した。家に帰って鏡を見たら、なんだか頓珍漢な服装をしていた。

今日、やっと少し落ち着くかと思いきや、会見映像でまた泣いた。

 

こっそりテレビで時折放送される宝塚を録画して、いつか劇場に行きたいと思いを募らせた女の子だった私が、田舎から東京に出て自分の力でお金を稼いで劇場に行けるようになったころ、当時大好きだったスターはみんないなくなっていた。

あの頃と比べたらそんなに気になる方もできないし、一生見ることもないかも……と思っていた時、アリスの恋人をみた。当時大好きでよく着ていたブランドのお洋服がお衣装だったんだったから、なんて安直な理由だった。

まだまだ色んなところが粗削りな可愛い女の子が、可愛いお洋服を着て歌って踊っていた。キラキラしていて、ダンスのステップがきれいで、大きな目から涙をぽろぽろ流すのが可愛くて、絵本からでてきたみたいなその子は、トップ娘役になった。

硬かった演技はしなやかになり、思わず応援したくなってしまう歌は思わず拍手してしまうものになり、当時から得意だったであろうダンスは、ショーで一場面任されるまでになっていた。

 

一度だけ、お手紙を書いたこともあった。会に入りたい、なんて烏滸がましくてどうしても書けなかったけれど、書いておけばよかった。

 

それからなんとなく、彼女の出演する公演は必ず足を運んでいた。オペラグラスで端まで追った。初めてハイタッチできた日は本当に嬉しくて、涙が出そうなくらいだった。

 

従来の、徹底的に寄り添う娘役タイプではなかった。

そのことに対して批判も見たことはあったけれど、トップさんをきっちり立てつつ自分の主張もきちんとしていく姿が好きだった。

AFOの「私も生き方を曲げない。どこまでも、あなたについていく!」というせりふが、そのまま彼女の歩んできた道を表しているようで、大好きなセリフになった。

 

バウホールとはいえ異例の主演公演を用意してもらい、退団公演はエリザベート

今考えられうる、娘役のあこがれをいっぱい詰め込んだ花道を用意してもらって、彼女はまっすぐ歩いていく。

会見の様子をみているとやっぱり泣いてしまう。

いつかこの小さな世界から旅立って、大きくのびのび羽ばたいてほしいとずっと願ってきたのに、彼女がいつまでも幸せそうな笑顔で相手役さんに寄り添ってくれていることも願ってしまう。

ファンってわがままだ。もっと才能を生かしてほしいと願いながら、やっぱりここにいてほしいなんて思ってしまうんだから。

 

11月18日、彼女が緑の袴で大階段を下りてくる日、何を思うんだろう。

間違いなく泣いてしまうだろうし、やっぱり「やめるのやめよう」って思うんだろう。

その日には、ありがとうという気持ちで見送りたい。

やっぱり彼女を見てまたもう一度、宝塚が好きになれたから。

あなたが意思を曲げず、あなたの大好きな場所で、より高みを目指せますように。


愛希れいかさん、最後の最後の日まで、ずっと応援しています。