Romale ロマを生きた女カルメン 観劇
2018年4月1日 マチネ
2018年4月8日 マチネ
東京芸術劇場プレイハイウス
あらすじ
1830年スペインのセビリア。軍の規律に忠実な衛兵のホセは、妖しい魅力をもつロマ族の女工カルメンと出会う。そして一瞬で燃え上がるような宿命の恋が始まった。ホセは誰の指示も受けず自由に生きるカルメンに身も心も溺れ、後戻り出来ない状況に陥っていく。だが、カルメンは「私って女はきっとあんたを不幸にする」と言い放つ。
カルメンの魅力に翻弄された男はホセだけではなかった。ホセの上司・スニーガ中尉、カルメンの夫・ガルシア、イギリス貴族・ローレンス ― 彼らに嫉妬したホセの愛は狂おしいまでになってゆく……。
それから約50年後、フランス人学者・ジャンはカルメンの足跡をたどるうちに、彼女を知るという老人と出会う。老人の話から浮かび上がってきたカルメンの意外な真実とは……。
死してなお多くの人の心を揺さぶる、カルメンの熱い魂が現代に語りかける。
数年前、花總さんのコンサートで「激情」の曲を歌う姿を見た日、もういちどカルメンを演じてくだされば…と思ったのを思い出します。
(HANACHANGももう一回やってほしいんだけど)
冒頭で「アンダルシアの太陽」と歌われるように、カルメンはまぶしいまぶしい太陽。
近づきすぎては滅んでしまう。
彼女がそこにいるだけで、良くも悪くもすべてが明るく照らし出されてしまうし、闇はより濃くなってしまう。
ガルシアやスニーガー中尉はちゃんとそれをわかっていて、適度な距離を保ったり、日よけの対策をしているけれど、ホセはまっすぐ太陽を見つけて、何も対策をしないで走り寄っている。
走れば走るほど影は長くのびて、その影の上にはカルメンを愛した男の死体が転がっている。
最後は説明過多だなあと思ったんですが、そんな簡単なことも気付けないくらいホセはカルメンに夢中で、そしてカルメンのことをどこかで信頼していなかったんだろうなぁと。
彼女がホセと生きるためにしていたことに何一つ気づかず、あなたと生きたいからあなたも手を伸ばして、と必死になっても、そこに石を投げ込むことばかりしていた。
こんなにまっすぐで、ひたむきに愛されても、気付けなくなってしまうものなのだなぁと悲しくも感じました。
お芝居としてはスニーガ中尉の伊礼くんがとにかく素敵でした。
胡散臭くて、いやらしくて、ちょっといらいらする感じが!笑
花總まりさまのスカートさばきは変わらず美しく、思うがままに鮮やかに翻るそのさまがカルメンの生きざまのようで。
まぶしい太陽に魅せられた時間でした。
思ってたより面白かったんだけどな。もっと上手に告知してくれたらよかったのに…。
99才まで生きたあかんぼう 観劇
2018年2月24日 マチネ
2018年2月28日 ソワレ
2018年3月3日 マチネ
2018年3月4日 ソワレ
よみうり大手町ホール
ここのホールに来るのは2作品目。
天井が高くて、音がよく響いて、座席が固くない、お席は多くないけれど綺麗で高級感のある、好きな劇場の一つ。
ひとりのあかんぼうが、0歳から99歳で亡くなるまでの物語を6人のキャストで紡ぐオールメール舞台。
4公演観劇したけれど、その日によって響くシーンが違う。
確かにこれは架空の物語だけれど、だからって全部うまくいくような夢物語ではない。
うまくいかないこと、壁にぶつかること、思っていたこととまるで違うこと、過ちだって起こしてしまう。
自分の年齢が近づくと、こういう人生もあるんだな、と思ってなんだかそわそわするし、仕事でミスをした日に観劇した時は、仕事がうまくいかないあかんぼうに自分の姿を重ねた。
うまくいかない息子の姿に弟の姿を重ねたり、あかんぼうが年を取って座っている姿に、昨年末に亡くなった祖父の姿を重ねた。
役者がみんな芸達者なので、6人だけでやっていると感じたところはなかったし、カーテンコールで出てきて「ああ、そういえば6人しかいないんだっけ…」と思ったくらい。松田君の犬が印象に残った。ああ、犬ってこういう動きする……と、亡き愛犬のことを思い出した。
主演の村井くんの、ひとりの人間の一生をすべて演じ切る、というのは難しいことであるのに、“この物語の主人公”の一生を的確に演じ切っているのは素晴らしかった。
人それぞれ、同い年でも年の取り方というのは違って、表現するうえではとても難しいと思う。
結婚して子供がいる友人もいれば、趣味を謳歌している友人もいる、すでに時が止まってしまった友人だっている。
昨年末、健在な母方の祖父と一緒に父方の祖父の葬儀に参加した日、母方の祖父の同級生と会った。並んでいると私の祖父はとても若く見えた。もう同窓会しようにも、半分はあの世だし、半分は施設だし、頭がまともなのは俺たちくらいだからな、とその人は笑っていた。
ひとそれぞれに人生があって、年の取り方も違って、何歳だから、この年代だから、絶対にこう、なんてことはあり得ない。
改めて実感した舞台だった。
ものすごく面白い舞台だった!と手放しに言うのは難しいかもしれない、でも、必ずどこかが響いて残る話だった。
仕事がつらすぎて、ここ最近毎日泣いてばかりだった。
どうしようもなくなって、お手洗いで泣いた日もあった。
気分が落ち込んで仕方なかったけれど、この舞台を見て笑った日はまた頑張ろう、と思えた。
お腹いっぱい食べて、よく笑うこと。
思えばここ最近できていなかったかもしれない。
せめてお腹いっぱい食べることから始めてみよう。
いつか、大変よく生きました、と思えるように。
御贔屓の退団
1月15日。
御贔屓の退団が発表された。
頭が真っ白になって、ただただ泣いた。
どうしてこれだけ泣いたのかわからない。こんな思いをするなんて、宝塚を好きにならなければよかった。そう思った瞬間すらあった。
16日は仕事でミスを連発した。家に帰って鏡を見たら、なんだか頓珍漢な服装をしていた。
今日、やっと少し落ち着くかと思いきや、会見映像でまた泣いた。
こっそりテレビで時折放送される宝塚を録画して、いつか劇場に行きたいと思いを募らせた女の子だった私が、田舎から東京に出て自分の力でお金を稼いで劇場に行けるようになったころ、当時大好きだったスターはみんないなくなっていた。
あの頃と比べたらそんなに気になる方もできないし、一生見ることもないかも……と思っていた時、アリスの恋人をみた。当時大好きでよく着ていたブランドのお洋服がお衣装だったんだったから、なんて安直な理由だった。
まだまだ色んなところが粗削りな可愛い女の子が、可愛いお洋服を着て歌って踊っていた。キラキラしていて、ダンスのステップがきれいで、大きな目から涙をぽろぽろ流すのが可愛くて、絵本からでてきたみたいなその子は、トップ娘役になった。
硬かった演技はしなやかになり、思わず応援したくなってしまう歌は思わず拍手してしまうものになり、当時から得意だったであろうダンスは、ショーで一場面任されるまでになっていた。
一度だけ、お手紙を書いたこともあった。会に入りたい、なんて烏滸がましくてどうしても書けなかったけれど、書いておけばよかった。
それからなんとなく、彼女の出演する公演は必ず足を運んでいた。オペラグラスで端まで追った。初めてハイタッチできた日は本当に嬉しくて、涙が出そうなくらいだった。
従来の、徹底的に寄り添う娘役タイプではなかった。
そのことに対して批判も見たことはあったけれど、トップさんをきっちり立てつつ自分の主張もきちんとしていく姿が好きだった。
AFOの「私も生き方を曲げない。どこまでも、あなたについていく!」というせりふが、そのまま彼女の歩んできた道を表しているようで、大好きなセリフになった。
バウホールとはいえ異例の主演公演を用意してもらい、退団公演はエリザベート。
今考えられうる、娘役のあこがれをいっぱい詰め込んだ花道を用意してもらって、彼女はまっすぐ歩いていく。
会見の様子をみているとやっぱり泣いてしまう。
いつかこの小さな世界から旅立って、大きくのびのび羽ばたいてほしいとずっと願ってきたのに、彼女がいつまでも幸せそうな笑顔で相手役さんに寄り添ってくれていることも願ってしまう。
ファンってわがままだ。もっと才能を生かしてほしいと願いながら、やっぱりここにいてほしいなんて思ってしまうんだから。
11月18日、彼女が緑の袴で大階段を下りてくる日、何を思うんだろう。
間違いなく泣いてしまうだろうし、やっぱり「やめるのやめよう」って思うんだろう。
その日には、ありがとうという気持ちで見送りたい。
やっぱり彼女を見てまたもう一度、宝塚が好きになれたから。
あなたが意思を曲げず、あなたの大好きな場所で、より高みを目指せますように。
愛希れいかさん、最後の最後の日まで、ずっと応援しています。
源氏物語音楽絵巻~儚き夢幻~ 観劇
2018年1月3日(水) 国際フォーラムホールC 4列下手
今年の観劇初めでした。
去年の観劇分でほかに書き留めておきたいものもいくつかあるんだけどそれはまたおいおい。
チケット運もお座席運もない私ですが、今回はとっても良いお席をご用意いただきました。幸先良さそう。
もちろんお目当ては花總まり様。どう考えたって十二単がお似合いになるじゃない!とチケットをとりました。
まるで絵巻物から出てきたかのようなお姿に思わずため息。
音楽も映像もとっても美しくて、いくら70分とはいえこのチケット代でよろしいんですか…と聞きたくなった…。
努力でどうにかなるものではないものの一つに、“声”があると思うのですが
心にすっと染み渡る、透き通るような声が聞いていて心地よくて
ああ、無理してでも予定をつけて見に来てよかったなぁと思うのでした。
ただただ綺麗で堅苦しいだけでなく、末摘花の場面では某童謡が流れたり、ふっと肩の力を抜ける瞬間もあって、とっつきやすさというか、また見てみたいなぁという気持ちになりました。
そんなわけで大変贅沢な観劇初めとなりました。
今年はいい舞台に沢山巡り合えますように。