99才まで生きたあかんぼう 観劇
2018年2月24日 マチネ
2018年2月28日 ソワレ
2018年3月3日 マチネ
2018年3月4日 ソワレ
よみうり大手町ホール
ここのホールに来るのは2作品目。
天井が高くて、音がよく響いて、座席が固くない、お席は多くないけれど綺麗で高級感のある、好きな劇場の一つ。
ひとりのあかんぼうが、0歳から99歳で亡くなるまでの物語を6人のキャストで紡ぐオールメール舞台。
4公演観劇したけれど、その日によって響くシーンが違う。
確かにこれは架空の物語だけれど、だからって全部うまくいくような夢物語ではない。
うまくいかないこと、壁にぶつかること、思っていたこととまるで違うこと、過ちだって起こしてしまう。
自分の年齢が近づくと、こういう人生もあるんだな、と思ってなんだかそわそわするし、仕事でミスをした日に観劇した時は、仕事がうまくいかないあかんぼうに自分の姿を重ねた。
うまくいかない息子の姿に弟の姿を重ねたり、あかんぼうが年を取って座っている姿に、昨年末に亡くなった祖父の姿を重ねた。
役者がみんな芸達者なので、6人だけでやっていると感じたところはなかったし、カーテンコールで出てきて「ああ、そういえば6人しかいないんだっけ…」と思ったくらい。松田君の犬が印象に残った。ああ、犬ってこういう動きする……と、亡き愛犬のことを思い出した。
主演の村井くんの、ひとりの人間の一生をすべて演じ切る、というのは難しいことであるのに、“この物語の主人公”の一生を的確に演じ切っているのは素晴らしかった。
人それぞれ、同い年でも年の取り方というのは違って、表現するうえではとても難しいと思う。
結婚して子供がいる友人もいれば、趣味を謳歌している友人もいる、すでに時が止まってしまった友人だっている。
昨年末、健在な母方の祖父と一緒に父方の祖父の葬儀に参加した日、母方の祖父の同級生と会った。並んでいると私の祖父はとても若く見えた。もう同窓会しようにも、半分はあの世だし、半分は施設だし、頭がまともなのは俺たちくらいだからな、とその人は笑っていた。
ひとそれぞれに人生があって、年の取り方も違って、何歳だから、この年代だから、絶対にこう、なんてことはあり得ない。
改めて実感した舞台だった。
ものすごく面白い舞台だった!と手放しに言うのは難しいかもしれない、でも、必ずどこかが響いて残る話だった。
仕事がつらすぎて、ここ最近毎日泣いてばかりだった。
どうしようもなくなって、お手洗いで泣いた日もあった。
気分が落ち込んで仕方なかったけれど、この舞台を見て笑った日はまた頑張ろう、と思えた。
お腹いっぱい食べて、よく笑うこと。
思えばここ最近できていなかったかもしれない。
せめてお腹いっぱい食べることから始めてみよう。
いつか、大変よく生きました、と思えるように。